制度・実務
食品添加物「酢酸カリウム」新規指定案がパブリックコメントへ―健康食品・OEM・輸入事業者が確認したい実務
2026年9月9日
食品添加物「酢酸カリウム」の新規指定案について、現在の制度状況と日本向け商品開発・OEM・輸入時の確認ポイントを事業者向けに整理します。

消費者庁は2026年9月1日、「食品衛生法施行規則の一部を改正する内閣府令案」および「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する告示案」について意見募集を開始しました。
今回の改正案には、食品添加物としての酢酸カリウムの新規指定と規格基準の設定が含まれています。意見募集期間は2026年10月1日までです。2026年9月9日時点では、あくまで改正案の段階であり、最終的な制度内容については今後の公布・施行内容を確認する必要があります。e-Gov:意見募集案件
健康食品や一般食品を企画する企業にとって今回の動きで重要なのは、酢酸カリウムという一つの添加物だけではありません。
海外原料の採用、OEM処方設計、完成品輸入を行う際には、海外で食品用途として使用されていることと、日本国内で食品に使用できることは別に確認する必要があるという基本原則を改めて押さえておく必要があります。
酢酸カリウムとは
食品安全委員会に提出された評価資料では、酢酸カリウムについて、pH調整剤、酸味料、調味料、日持向上剤としての用途が示されています。
消費者庁から食品安全委員会への評価要請は2026年5月13日に受理され、同月21日に評価結果が通知されています。その後、6月2日の食品衛生基準審議会添加物部会で新規指定の可否が審議され、8月26日の食品衛生基準審議会でも食品添加物の指定等が議題となりました。食品安全委員会:評価書詳細
現在は、この一連の審議を踏まえた制度改正案についてパブリックコメントが行われている段階です。
「海外で使用できる添加物=日本でも使用できる」ではありません
日本では、食品衛生法に基づき、原則として内閣総理大臣から指定された「指定添加物」のみを食品添加物として使用できます。
例外として使用できるのは、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物に該当するものです。食品添加物は食品安全委員会による安全性評価等を踏まえ、消費者庁が必要に応じて成分規格や使用基準を設定しています。消費者庁:食品添加物
したがって、海外サプライヤーから、
- 「EUで使用されています」
- 「米国ではFood Gradeです」
- 「海外のサプリメントで一般的に使用されています」
と説明された場合でも、それだけで日本向け製品へ採用できるとは判断できません。
日本での商品化を検討する場合には、その物質が日本の制度上どのカテゴリーに該当するのかを確認する必要があります。
輸入食品にも日本の添加物基準が適用されます
この点は、海外完成品を日本へ輸入する企業にとって特に重要です。
消費者庁は、食品添加物に関する日本の基準について、国産品・輸入品を問わず日本国内で流通する食品に適用されると説明しています。消費者庁:食品添加物の情報
海外メーカーの既製品をそのまま輸入する場合でも、
- 主原料
- 副原料
- 賦形剤
- コーティング剤
- 香料
- 甘味料
- 保存料
- pH調整剤
- プレミックスに含まれる添加物
まで確認することが重要です。
商品名や主要成分だけを確認して輸入可否を判断すると、後から添加物の問題が判明し、処方変更や再製造が必要になる場合があります。
OEM商品では「処方決定前」の確認が重要です
日本国内でOEM製造する場合も同様です。
実務上、商品企画ではまず「どの成分を何mg入れるか」に意識が向きやすいですが、量産段階では機能性素材以外の副原料や加工上必要な添加物も処方へ入ります。
特に海外由来の原料やプレミックスを使用する場合には、原料名称だけではなく、製造時に使用される担体や添加物まで確認しておくことが重要です。
当社では、商品企画の初期段階で、
原料 → 処方 → 剤形 → 製造条件 → 表示 → 販売市場
を分けて考えるのではなく、一つの流れとして確認することを推奨しています。
処方が完成してから法規確認を行うより、原料選定時点で日本での使用条件を確認した方が、試作や包材制作後の手戻りを減らしやすくなります。
今回の改正案から事業者が確認したい5つのポイント
1.改正案と施行済みの規定を区別する
今回の酢酸カリウムについては、2026年9月9日時点ではパブリックコメント中です。
「指定される予定だから使用できる」と先行判断せず、最終的な公布内容と施行日を確認してから商品仕様へ反映する必要があります。e-Gov:意見募集案件
2.原料名だけではなく添加物の全構成を確認する
複合原料やプレミックスの場合、主成分以外にデキストリン、乳化剤、香料、pH調整剤などが含まれる場合があります。
原料規格書だけでは確認できない場合には、サプライヤーへCompositionや製造情報の確認が必要です。
3.「Food Grade」を日本法上の使用可否と同義にしない
Food Gradeという表現は、各国・地域の制度や供給者の規格を示している場合があります。
日本向け商品については、日本の指定添加物、既存添加物等への該当性と使用基準を別途確認します。
4.規格と使用基準をセットで確認する
食品添加物では、「使用できる物質か」だけでなく、成分規格や対象食品、使用量などの使用基準が設定される場合があります。
採用判断では名称だけを確認するのではなく、最新の規格基準まで確認することが重要です。消費者庁:食品添加物
5.OEM工場・原料会社・販売会社で情報を共有する
一つの商品でも、原料会社 → OEM工場 → ブランド会社 → 輸入・販売会社と複数の企業が関与します。
原料や添加物の変更が行われた場合に、誰が確認し、どこまで共有するかを事前に決めておくことで、量産後の仕様差異を防ぎやすくなります。
海外原料を日本で採用するときの確認フロー
当社では、海外原料や海外処方を日本で商品化する場合、少なくとも次の順序で確認することを推奨しています。
STEP 1|原料の完全組成を確認
主要成分だけでなく、副原料、添加物、担体、加工助剤等を確認します。
STEP 2|日本での食品区分を確認
一般食品原料なのか、食品添加物なのかを整理します。
STEP 3|添加物の場合は日本での使用可否を確認
指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物等への該当を確認します。
STEP 4|規格・使用基準を確認
純度、対象食品、使用量などの条件がある場合は処方へ反映します。
STEP 5|OEM・表示仕様を確定
法規上の確認が取れた後に、最終処方、原材料表示、包材仕様へ反映します。
この順序で進めることで、試作後や輸入直前に原料変更が必要になるリスクを抑えやすくなります。
FAQ
酢酸カリウムは現在、日本の食品に使用できますか
2026年9月9日時点では、新規指定等に関する改正案についてパブリックコメントが行われています。現在の制度上の取扱いと、今後公布される最終的な規定を確認する必要があります。e-Gov:意見募集案件
海外で認可されている食品添加物なら日本でも使用できますか
必ずしもそうではありません。日本では原則として指定添加物を使用し、これ以外では既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物等に該当するかを確認する必要があります。消費者庁:食品添加物
海外OEM工場から「食品用」と言われれば問題ありませんか
「食品用」「Food Grade」という説明だけでは、日本国内での使用可否を判断できません。物質名、組成、規格、用途、日本の法的位置付けを確認することが重要です。
完成品を輸入する場合も確認が必要ですか
必要です。日本の食品添加物に関する規格・基準は、国産品だけでなく、日本国内へ流通する輸入食品にも適用されます。消費者庁:食品添加物の情報
まとめ
食品開発では、新しい原料や成分の機能性に注目しがちですが、実際の商品化では、主成分以外の添加物や製造条件まで含めて確認する必要があります。
今回の酢酸カリウムの新規指定案は、日本の食品添加物制度が継続的に更新されていることを示す一例です。
特に海外原料、海外OEM、輸入食品を扱う企業では、「海外で使用できるか」ではなく「日本でどの制度に基づいて使用できるか」まで確認した上で商品化を進めることが重要です。
当社では、健康食品の商品企画、原料確認、OEM製造、品質資料、表示、輸出入までを一連の実務として整理し、商品化に必要な確認事項を事前に明確化しています。
※本記事は2026年9月9日時点の公開情報をもとに、食品関連事業者向けの一般的な実務情報として整理したものです。個別商品の適法性や使用可否については、最新の法令、告示、行政資料および商品条件をご確認ください。
参考資料
- e-Gov|食品添加物の新規指定及び規格基準の改正に関する意見募集(案件235110034)
- 消費者庁|食品添加物
- 消費者庁|令和8年度第1回食品衛生基準審議会添加物部会
- 消費者庁|令和8年度第2回食品衛生基準審議会
- 食品安全委員会|酢酸カリウム 食品健康影響評価
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専門関係者向け参考情報
本ページは、健康食品・サプリメントの研究開発および製品設計に関わる専門関係者の方を対象とした参考情報です。
本情報は、疾病の診断、治療、予防を目的とするものではありません。ご使用にあたっては、最新の法規制および各国の規制をご確認ください。
